2014年9月18日木曜日
悲しい。幸せ-3
いいタイミングで初級の話ができた。
レッスンの日が来た。
もちろん何事もなかったかのように、いつも通り準備運動してからレッスンが始まった。
見るとなんだか先生が気を使って大嶋さんを見ているようだ。
手取り足取り。
それを、みな眺めている。
前半の中盤に差し掛かった時、
ちょうど先生と大島さんが並んでるところへ生田が入り込み話し始めた。
「ね、大島さん。初級教室においでよ。私も言ってるし野島さんも来てるよ」
「いや、その時間9時から個人レッスンをやっているんですよ。早く終われば来れるけど。10時から始まったら、途中から来ることになっちゃうけど」
「その時は、途中からでもいいから」生田はいい、
「初級からしっかり基本をマスターしたほうがあとあといいから」
と付け足した。
来るかも知れない、と生田は思った。まじめなので決まれば来るだろうと。
それにしてもいいタイミングで初級の話ができたものだ。
後半は、大嶋さんのことはもうすっかり忘れて次のことに気持ちが移っていた。
「右のホールドがいつの間にか下がるね」という例の指摘が気になっていたのだ。
途中ホールドに気をまわすなんてことは実際のところできない。
だから、そう意識してかかるだけのことだ。
ともかくいつも意識してチェックすることにする。忘れないように。
2014年9月15日月曜日
悲しい。幸せ-2
家に帰って2階に上がりパソコンを開く。
昨日のレッスンの模様をブログに書いているのだ。
書き始めて5年は経過している。
習い始めた時に記録用としてはじめたのだった。
レッスンが終わり自宅に戻る。パソコンを開く。記憶が鮮明な内、レッスンの模様、感じたことなどを淡々と記す。この繰り返しだ。
パソコン台の上にある、ケイタイが鳴る。見ると小野さんからだった。
「慶ちゃんから聞いたんだけど、大嶋さんのこと、かわいそうだといって電話がかかってきたのよ」
大嶋さんのことでこの人も気に掛けているのか。いろんな提案をしてくる。
どうなるかは次のレッスンのときの話し方次第ではないかと思われた。
「生田さんは右のホールドがいつの間にか下がるね。私の左手は居場所を失って悲しい思いをしています。」チャイニーズの野島さんが突然言う。
「河野さんは踊りは硬いけどホールドはしっかりキープされているわよ」耳の痛い話である。
野島さんは日本人にはなかなかなじめない合理性をもっている。へんな遠慮というものがない。主張するときは臆せず、間髪入れず押してくるところがある。
でも、ありがたいことで指摘されない限り分からないのだから。ここしばらく漠然と思っていたことが指摘されたのでますます気を締めていかねばならない。
その原因だが、筋肉が足らないのか構え事態がなっていないのか。その両方か。
ともかくいつも意識してチェックすることにする。
昨日のレッスンの模様をブログに書いているのだ。
書き始めて5年は経過している。
習い始めた時に記録用としてはじめたのだった。
レッスンが終わり自宅に戻る。パソコンを開く。記憶が鮮明な内、レッスンの模様、感じたことなどを淡々と記す。この繰り返しだ。
パソコン台の上にある、ケイタイが鳴る。見ると小野さんからだった。
「慶ちゃんから聞いたんだけど、大嶋さんのこと、かわいそうだといって電話がかかってきたのよ」
大嶋さんのことでこの人も気に掛けているのか。いろんな提案をしてくる。
どうなるかは次のレッスンのときの話し方次第ではないかと思われた。
「生田さんは右のホールドがいつの間にか下がるね。私の左手は居場所を失って悲しい思いをしています。」チャイニーズの野島さんが突然言う。
「河野さんは踊りは硬いけどホールドはしっかりキープされているわよ」耳の痛い話である。
野島さんは日本人にはなかなかなじめない合理性をもっている。へんな遠慮というものがない。主張するときは臆せず、間髪入れず押してくるところがある。
でも、ありがたいことで指摘されない限り分からないのだから。ここしばらく漠然と思っていたことが指摘されたのでますます気を締めていかねばならない。
その原因だが、筋肉が足らないのか構え事態がなっていないのか。その両方か。
ともかくいつも意識してチェックすることにする。
2014年9月12日金曜日
悲しい。幸せ。-1
レッスンが終わる頃、
「ちょっと話があるんですが。食事でもしながらいいでしょうか?」
南木さんから声がかかる。
講師の沢口先生と生田は1階のロビーまで下りて行きながら「何でしょうね?」と顔を見合わす。
生田はタバコを吸うため喫煙室に滑り込んだ沢口先生の後ろについていく。
「大島さんのことなんだと思うんですが」
沢口先生はタバコを吸いながら言う。
「みんな踊れないんですよ。こわくて。まともな足形もしていないしでたらめでやっているから女性は怖くて仕方ないらしい」
「ああ、やっぱりそうか」
沢口先生がタバコを途中で消すのを見ながら二人は喫煙室を出、コーヒーハウスに向かう。
そこには女性陣が7~8人待っていた。
メニューを見てようやく注文し終わってテーブルにつく。
南木さんから「実は大島さんのことなんですが。転ぶのをみんな怖がっている。来月からクイックが始まるので余計心配しているの」
大島さんとは生田が別のサークルで知り合い声を掛けた。
すんなり来てくれてすぐサークルに入会してくれた。おどりがめちゃくちゃ、という話は以前から聞いていたが、一緒に並んで踊っているのでその様子はわからなかったのだ。
「どうするといっても、初級の方にまわってもらった方がいいのじゃないかと思っている」
生田はそういい、別のクラスを勧めていることを説明した。
「危険な状態」は何もしなければこのままでは続き、いつか事故が起こるかも知れないのだった。
話し合いのすえ、結局沢口先生と生田が来週直接本人に話すことになった。
二人はコーヒーハウスを出た。女性陣は、まだ、話があるらしく残っていた。
「ちょっと話があるんですが。食事でもしながらいいでしょうか?」
南木さんから声がかかる。
講師の沢口先生と生田は1階のロビーまで下りて行きながら「何でしょうね?」と顔を見合わす。
生田はタバコを吸うため喫煙室に滑り込んだ沢口先生の後ろについていく。
「大島さんのことなんだと思うんですが」
沢口先生はタバコを吸いながら言う。
「みんな踊れないんですよ。こわくて。まともな足形もしていないしでたらめでやっているから女性は怖くて仕方ないらしい」
「ああ、やっぱりそうか」
沢口先生がタバコを途中で消すのを見ながら二人は喫煙室を出、コーヒーハウスに向かう。
そこには女性陣が7~8人待っていた。
メニューを見てようやく注文し終わってテーブルにつく。
南木さんから「実は大島さんのことなんですが。転ぶのをみんな怖がっている。来月からクイックが始まるので余計心配しているの」
大島さんとは生田が別のサークルで知り合い声を掛けた。
すんなり来てくれてすぐサークルに入会してくれた。おどりがめちゃくちゃ、という話は以前から聞いていたが、一緒に並んで踊っているのでその様子はわからなかったのだ。
「どうするといっても、初級の方にまわってもらった方がいいのじゃないかと思っている」
生田はそういい、別のクラスを勧めていることを説明した。
「危険な状態」は何もしなければこのままでは続き、いつか事故が起こるかも知れないのだった。
話し合いのすえ、結局沢口先生と生田が来週直接本人に話すことになった。
二人はコーヒーハウスを出た。女性陣は、まだ、話があるらしく残っていた。
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